PSRに代わる「成長率」と「利益率」を加味した株価指標の考察

この記事では、ハイグロース銘柄などに使われる指標であるPSRに、株価上昇に重要な「成長率」と「利益率」を加味した新指標を考察してみようという内容です。

 

  • グロース投資始めたいけど、PER100倍とかPERがN/Aとかなってて高いんか安いんかわからん
  • PERはわかるけど、PSRってなんやねん
  • PSRって売上しか考慮してないし指標として本当に使えるん?
  • 自分でいろいろ数字イジって銘柄分析したいけど、どうしたらいいかわからん
 
という疑問を持っている人は読んで頂くと少しはためになる内容になっているかなと思います!
 
 
SAN
私も初心者ですが、自ら考えて分析するのが上達への近道!と思って書いています
 
株を始めたばかりの人にもわかってもらえるようにPER・PSRの説明から始めてますが
 
新指標の考察のみ読みたい方は目次から「PSRの改良余地と新指標」まで飛ばしてお読みください。
 
 

株価の割高/割安をはかる超重要な指標「PER」

まず、はじめに一般的な株価指標について説明します。

一番有名なのがPER(株価収益率)ですね。

 

PER(株価収益率)=株価/1株あたり利益(EPS)
 
 
SAN
株価1000円の銘柄の1株あたり利益が50円なら、PERは50倍です。
 
株式会社は利益を追求するものですので、利益に対する株価の比率で割安/割高を測るというのは誰しもが納得する指標でしょう。
 
しかしここで問題となるのは、IPOしたてなどの若い会社で売上はグングン伸びているが、利益が出ていない会社は利益を指標とするPERでは割安/割高を測ることができないということです。
 
 
SAN
いわゆるグロース銘柄はほとんどコレです。
 
一時期、$TSLA(テスラ)がすごい勢いで上昇しているときに「PER1000倍なんてバブルだ!」なんて意見をちらほら見聞きしましたが、ハイパーグロース銘柄であるテスラをPERを指標に測ること自体が間違った議論をしていたわけです。
 
ではどうして測るか。そこで登場するのが「PSR(株価売上高倍率)」です。
 
ここで初心者の方に注意してほしいのはPERが低い(割安)から買いだということではありませんここではPERの説明のために
PER(株価収益率)=株価/1株あたり利益(EPS)
という式を使いましたが、本来のPERは
株価=PER(株価収益率)×1株あたり利益(EPS)
で使うべき指標です。これはめちゃくちゃ大切なことなのですが
 
SAN
どう違うねん!
ということは、また別の記事で書きたいと思います。
 

グロース銘柄に使う株価指標「PSR」

グロース銘柄は利益が出ていない。そこで売上高を使った指標が「PSR」です。

 

PSR=時価総額/売上高
 
PERでは1株あたりの価値である株価を使うため、利益も1株あたりの利益を使いましたが、売上高は会社全体での数字(全株売上と呼ぶべき?)なので時価総額(株価×株数)を使います。
売上高は本決算で確定しますが、グロースの場合、1年前の決算の数字から大きく成長しているので1年前の売上はあまり役に立ちません。そこで、「直近四半期の売上×4」を売上高として使うことも多いです。
 
 
SAN
時価総額が100億円の銘柄の直近四半期の売上が2.5億円の場合PSRは10倍となります。
 
特にSaaSなどのネットIT企業は、利益率が高いのでPSRが高くなりがちです。
一方、製造業や小売業など利益率の低い業種はPSRは低くなりあまりPSRでは語られません。
現在TSLAのPSRは20倍程度で、SaaS系企業のOKTA38倍、DOCU34倍などと比べると低い値になっています。
しかし、これは先程書いたようにTSLAは製造業なのでSaaS系企業との単純比較はできません。
ちなみに、トヨタのPSRは0.88倍です(笑)
 
 
SAN
TSLAが高いバリュエーションなのは間違いありませんね。しかし割高なら上がらないのかというと、そうでもないのが株の難しいところです。
 
 

PSRの改良余地と新指標

さて、ここまで既存の株価指標を見てきましたが、ここからは新指標の考察に移りたいと思います。

このことを考えたきっかけは、米国株村のはっさくさん(@hassakumacro)のこのツイートがきっかけです。

まず、既存のPSRはグロース企業で重要視される「成長率」と「利益率」が加味されていない

基本として、高い成長率の企業は高いバリュエーションが許容されます

そのため、単純に現時点での売上による比較であるPSRを使うのはグロース企業の指標として乱暴だろうということですね。

そこで、新しく提案されたはっさく新指標を提案されました。

 

はっさく新指標

新しく提案されたはっさく新指標は以下の式です。

売上成長率(YoY)+(粗利率) / PSR
 
PSRに「成長率」と「利益率」を係数として使うというものです。
グロース企業は純利益が出ていない(だからPERが使えない)企業が多いので、粗利益率を使います。
 

はっさく新指標から私が考えたこと

この新指標の式を見て私がまず思ったのは

 
SAN
なぜ「足し算」なのだろう?
ということでした。
売上成長率と粗利率という全く別のものを単純に足して混ぜるということに違和感を感じました。
このことに関しては、はっさくさんから回答を頂きました。

 

 
SAN
恥ずかしながら、この40%ルールは知りませんでした(ちらっと見たことがあるような気がしますが、重要な指標として頭には残っていませんでした)。そのレベルですみません。。
 
しかし、「足し算」を使うことで重要なことが起こります。
 
 

(はっさく指標の場合、数値が高いほうが割安なので、2倍割高ではなく、1/2のバリュエーションの間違いです)

この部分を少し解説します。

 

ともに1000円の株価である企業A(EPS50円)と企業B(EPS100円)を比較したとき、我々の直感としては株価が同じで利益は1/2なのだから2倍割高になっていると株価指標としてわかりやすいわけです。

この企業AのPERは20倍、企業BのPERは10倍となり直感と一致します。

  企業A 企業B
株価 1000円 1000円
EPS 50円 100円
PER 20倍 10倍

これはPSRでも同じです。

ともに時価総額が1000億円の企業A(売上50億円)と企業B(売上100億円)

この場合企業AのPSRはBの2倍になります。

  企業A 企業B
時価総額 1000億円 1000億円
売上 50億 100億
PSR 20倍 10倍

はっさく指標を見てみましょう。

売上高成長率が40%の企業Aと売上高成長率が80%の企業Bを比較してみると

  企業A 企業B
PSR 50 50
売上高成長率 40% 80%
粗利益率 60% 60%
はっさく指標 2 2.8

このように、成長率が2倍でも指標は2倍になりません(はっさく指標は値が大きいほうが割安)。

これは、直感的には少しわかりにくいんじゃ無いかと感じました。

 

 
SAN
ただ、後でもふれますが、じっくり考えてみると、株価が2倍になったときは指標は1/2になるので一番大切な株価とは倍率連動しているから、さほどわかりにくさはないかもしれません。
 
このことに関して、米国村で有名なBizさん(@Biz_zatukora)がリプされていました。
 
 

 

 
SAN
各要素を等価に評価するのではなく、寄与度を操作できるのでむしろ利点と評価されていますね。さすが深い!
 

SANが考えた新指標

このはっさくさんの考え方、つまりPSRに成長率と粗利益率を加味した指標というのは非常に面白いと感じたので、自分なりにはっさく指標の数字をイジって改良してみようと思いやってみました。

まず、はっさく指標のコンセプトを考察しました(これは、はっさくさんの考えとは異なると思います)。

  1. 成長率を加味する=将来の売上で計算する
  2. 粗利益率を加味する=売上ではなく利益で評価する

このことから、将来の粗利益で評価する指標を考える

これを頭に置き、はっさく指標を少しわかりやすく書くと、「PSR=時価総額/売上高」だから、次のようになります。

はっさく指標=売上高(成長率+利益率)/時価総額
 

こう見ると「売上高×成長率」がでてくるので「将来の売上」を考えていることがわかります。

次に、私が違和感を感じた「足し算」の部分を「掛け算」に変えてみます。

すると分子は「売上高×成長率×利益率」となるので、「将来の利益」を計算していることになります。

さらに、PSRとの対応がわかりやすいように逆数にして時価総額を分子に持ってきます。

以下の変更をしたら次のようになります。

 

時価総額/売上高×成長率×粗利益率
※成長率と粗利益率の値は50%なら0.50にして計算します。
 
ここで分母の「売上高×成長率×粗利益率」は将来の粗利益を計算したいわけですから
 
売上高×(1+成長率)×粗利益率
 
にします。
 
SAN
これで一年後の粗利益が計算できました
 
さらに、これまでのじっちゃまのライブで「市場は2年後の業績を織り込む」との投資機関の研究結果を紹介されていたので2年後の粗利益を計算することにします。
そこで、売上高を最新のガイダンスの値を使い(これが1年後)それに成長率をかけることで2年後の値にします。
そうやって完成したSANの新指標(笑)以下です。
 
時価総額/最新ガイダンス売上×(1+成長率)×粗利益率
 
ざっくり言い換えると
 
時価総額/2年後の粗利益
 
となります。
PSRが「売上」を使うのに対し、新指標では「将来の利益」を使うというPSRとの対応関係がわかりやすくなっています。
(それが改良なのか改悪なのかはわかりませんが)
 

PSR・はっさく指標・SAN指標の比較

さて、一旦新指標が完成したところで、この3つの値をいくつかの企業で計算して比較してみました。

データを比較しやすくするために、はっさく指標は逆数にして100倍しています。

(つまり率を%でなく素の値にしています。つまり50%=0.5として計算することになります)

つまり

 

時価総額×100/(成長率+粗利益率)
 
 
SAN
逆数にすることで値の動き方は大きく変わるのではっさくさんの意図とは変わっているかもしれませんが、私の考察ということでご了承ください。
 
またPSRを計算するときの売上高は最新のガイダンスの値を使っています
 
計算した企業は、ZM・SNOW・CRWD・DOCU・PLTR・OKTA・TDOC です。
いづれもPSRで語られることが多い企業だと思います。
 
 
SAN
値は検索して拾って来たりしているので、正確かはわかりません。ご了承ください。
 
これがそれぞれの値です。次に3つの指標の比較グラフです。
 
 
 
SAN
どの銘柄も PSR>SAN>はっさく になってますね。
 
次に3指標での差異を調べるため比率を求めました。
 
 
グラフにすると
 
 
どの銘柄でも3指数大きく差が出ることはありませんでした。
しかし、やはり成長率の高い企業では少し3指標の数値に開きが出る傾向がありますね。
 
最後にそれぞれの値で順位付けすると以下になりました。
 
SAN
見事に3指標とも順位は同じでした!
 
SAN指標はPSRの売上の部分を将来の粗利益に代えたもので、はっさく指標の逆数は分子がPSRなので、PSRと似たものになるのは当然かも知れません・・・
 

3指標を比較して、私なりの考察と結論

結論は、私が使うとすると

 

PSRで十分
 
という身も蓋もない物になりました(笑)
 
 
SAN
しかし、自分でいろいろ考えて試してみるのは楽しいし、数字も頭に入ってくるので非常にいい経験になりました!
 
まず、3指標で銘柄の順位が変わるということがなかったというが一番大きいですね。
その中でも比率にすこし差が出る(3指標の値の差が大きい)のは成長率が高い銘柄でしたので
 
PSRを見るときは成長率も一緒に確認する
 
という、みなさん既にやられていることで十分なのかなと。
 
 
SAN
つまり、「成長率の高い企業は高PSRが許容される」という常識的な結論ですね
 
また、比較した企業の中で、成長率が一番高いTDOCがPSRが一番低いということからも
 
PSRが低いから割安!というわけではなく、決算をしっかり出せない企業は買われないし、グロース企業はモメンタムが需要ということになりますね。
 
粗利益率や成長率は有料のサイトに課金しているとかでない限り、調べたり計算したりするのが結構面倒です。
PSRは無料サイトにも載っていることが多いので、その意味からもPSRで十分かなぁと感じました。
 
 
SAN
PSRの値だけじゃなく、特に成長率は一緒にチェックしましょう
 
 

比較に使った「はっさく指標」は変形しているので注意!

最後に、誤解が無いように再度注意を書かせていただきます。

はっさくさんが考案された指標は

 

(成長率(YoY)+利益率)/PSR
 
です。
 
私が、3指標を比較しやすくするために使った指標は
 
はっさく指標の逆数×100
 
です。
逆数をとっているので、値の変化の仕方が全く異なります。
 
 
SAN
y=xとy=1/xのグラフをイメージしてもらうとわかると思います。
 
ですので、逆数を取ることで、はっさくさんが意図した指標とは全く異なるものになっている可能性も大いにあります
 
PSRと元々のはっさく指標を比較したわけではないということをご理解ください。
 

結局、いろいろ考えたり議論したりするのが楽しい

ツイッターで自分よりレベルの高い人達の考えや議論を見させてもらって、自分なりに考えたり、リプで教えてもらったりできるのは本当に恵まれてる時代だなと改めて感じました!

おわりに

 注意

じっちゃま自身は「推奨銘柄」とはおっしゃっていません。

・同じ銘柄でも売買タイミングで利益が出ることも損になることもあります。

投資の最終的な判断はご自身でおこなってください。

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